昼過ぎから夕方にかけて
部屋の温度がじわじわ上がっていく。
こちらでも夏の暑さが厳しさを増し、思うように作業が進まない。
習慣を変えよう。
午後から部屋を飛び出し八ヶ岳へと足を向けた。
標高1500mあたりをゆったり歩く。
静かな森の中でスケッチしたり、草花や生き物を観察したりする。
その合間に、木陰でひと息ついてお茶を飲みながら、考えにふける。
八ヶ岳の様々な表情に改めて気づかされる。
かつて都市部に住んでいた頃、
夏場はクーラーの効いた部屋にこもりっきりになっていた自分を思い出す。
それもあって、この暑い時期にもっと積極的に活動していけるように
八ヶ岳の麓に移住を決意したのだった。
しかし最近は家の周りのスケッチにとどまり、
いつの間にか山から遠ざかってしまっていた。
森の中を歩いても、まだ完全に溶け込めていないよそよそしい感覚が残る。
そして少し距離をとって見ていた山は、その懐に入り込んでみると
イメージよりもはるかに大きなスケール感で自分を包み込む。
その壮大さに圧倒されながら、どうにかその自然の営みに調和できたらと
ゆっくり波長を合わせていく。
とても大切なことを思い出した。
こうした経験が描く前にまず必要なこと。