2022年 北杜市にオープンしたギャラリー、ガスボンメタボリズムへ。
三脚の工場跡、広々とした空間にアート作品が並ぶ。
奥に進むにしたがって巨大な作品が現れる。その圧倒的な存在感に、違った世界に包みこまれるような感覚を覚える。
2階では、
志鎌猛さんの写真展『観照 Contemplations』が開催されていた。
森の写真に引き込まれる。
冬の写真もあり不思議な温かみを感じる。
ご本人がいらっしゃって、技法のこと、撮影のことなどお話をうかがうことができた。
古典的写真技法のプラチナ・パラジウム・プリント技法を使われているらしい。
説明を聞きながら、なぜ温かみを感じたのか・・その秘密は紙にあった。
プリントしている紙に日本伝統の手漉き雁皮紙(がんぴし)を使用している。
上品で優しい茶褐色、きめの細かさ、水への強さ・・
この和紙が、故郷である、福井県越前市でつくられていることを知り、驚き、嬉しい繋がりに感動した。
今度帰省したときに探してみようと思う。
志鎌猛さんが展示に添えた言葉が素敵だったので紹介させていただきます。
“じっと見る。そうしていると、ふとした瞬間、眼に見えている風景のその向こうから、私を呼ぶ声が聴こえてくることがある。
その声を合図にカメラを据え、私は一度だけシャッターをきる。
一期一会の写真。
それは私が撮ったのではない。眼に見えないなにかに撮らせてもらったものだが、私はそのフィルムを自分の領域・暗室に持ち帰り、
時が過ぎても色褪せない画像として定着させたいと尽くす。
絵を描くように一枚一枚に丁寧に、プラチナプリントの古典的手仕事の工程を辛抱強く重ねる。
そして、現像液を浴びせると瞬時に浮かび上がる画像に息を呑む。
そこにあのときが宿っていると信じたい。”