「熊を彫る人」 写真 : 在本彌生, 文 : 村岡俊也を読んで
最後のほうで、アイヌの神話が紹介されている。
5本獲った鮭のうち、3本は自分達の食料にする。残り2本は刻んで置いてくる。熊の神様、フクロウの神様、狼の神様に食べてもらうため、古くからずっと続くアイヌの習慣。
生態系のバランスをとるための知恵が、語り継がれる物語のなかに織り込まれている。
”地球に住む人々がもっと幸せに、豊かになるために” そうしたメッセージは正しいことのようで、しかし同時に危うさを感じる。
この地球にすむ様々な生き物を、人々の欲によって生きづらい方へと追いやらず、彼らが健やかに生きていけるように。
それは決して簡単ではなく、得たものを手放さなくてはいけないこともあるだろう。
絵を通して、僅かでもそのためにできることをみつけていけたらなと思う。